早期だからこそ知って欲しい! 癌初期の治療ガイド
リスクのない治療法 再発・転移を起こさない治療法とは
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肺がん

肺のレントゲン

日本における死亡者数が最も多いとされている肺がん。喫煙などの要因で罹患(りかん)するイメージが強いのですが、喫煙者ではない女性などにも罹患者が増えているそうです。がん検診の受診率が徐々に高まっていることもあり、初期の段階で見つかるケースが増加しています。

肺がんは転移が早いがんとしても知られていますが、通常の肺がんよりもさらに進行の早い小細胞がんという種類のものがあります。通常の肺がんと小細胞がんでは治療が違うので注意です。

肺がんの種類

肺がんは、がん細胞の組成によって名称が異なり、非小細胞肺がんである腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんと、小細胞肺がんの4種類に分けることができます。腺がんが、いわゆる普通の肺がんです。

この内、女性や非喫煙者でも発症しやすいのが腺がんで、肺がんの中でもっとも多く見られるものです。肺がんの半数近くがこのがんです。

扁平上皮がんは肺がんの3割ほどを占めるがんで、早期発見しにくいものの、転移が比較的遅いという特徴があります。

小細胞肺がんは文字通り、腺がんより細胞が小さく、喫煙との関係が非常に高いがん。肺に発生するがんのうち、15%ほどが小細胞がんという進行も悪性度も高い種類に分類されます。このがんは通常の非小細胞がんよりも進行が早いだけではなく、転移もしやすいがんになります。ですが抗がん剤が効きやすいという特徴もあるため、薬物療法が治療の基本です。[1]

非小細胞がんの中では珍しい大細胞がんも、小細胞がんと似たような性質があり、進行が早く転移が起こりやすいタイプです。

肺がんの一般的な治療法

肺がんはほかのがんと同様、標準治療と呼ばれる治療法を選択するのが一般的です。特に非小細胞がんのステージⅠやステージⅡの初期段階では、ほとんどのケースで外科手術が適用されます。小細胞がんの場合、抗がん剤などの化学療法の効果が出やすいケースが多く、初期で発見されれば、放射線療法や薬物療法で十分に治療可能です。

【肺がんの一般的な治療法】

  • 外科的手術
  • 放射線治療
  • 抗がん剤による薬物療法

初期治療にもリスクはある

初期の肺がんでは特に、外科手術でメスを入れることによってがんを刺激してしまい、転移を促してしまうリスクがあることも承知しておかなければなりません。

初期の場合、多くは外科手術を行う場合が多いのですが、外科手術は体への負担が大きいだけでなく、実は、転移・再発のリスクがあるのです。

手術時にもがん細胞は血中にあって、体内をめぐっています。メスを入れられた箇所は抵抗力が落ち、がん細胞がとりつきやすくなります。血中のがん細胞がもぐり込んで爆発的に増殖しやすい環境になっているのです。

メスを入れられた箇所は、体が優先的に栄養を送り回復させようと努めるので、自然とがん細胞までが集まってきてしまいます。その結果、手術した箇所にがんが再発しやすくなるというわけです。

非小細胞肺がんのⅠB期とⅡ期の術後に化学療法が進められるのはこのためです。[2]

抗がん剤によるリスクは副作用だけではない!?

抗がん剤の副作用は、よく知られています。しかし、抗がん剤のリスクはそれだけではありません。抗がん剤は、個人の状況によって、合う・合わないがあります。その人に合った薬が見つかるまでには時間がかかることもあるのです。

たとえば、1クール(半年)抗がん剤治療を行っても合わなかった…となると、別の抗がん剤を試してみることになります。そうやってまた別の抗がん剤を使用して合わない…と繰り返しているうちに、本来治るはずのがんが進行してしまうケースも考えられるのです。

肺がんを予防するには?

肺がんはとくに喫煙者がかかりやすい病気と言われています。そのため、肺がんを予防するにはまず禁煙が第一となります。

タバコの煙を吸い込むだけでも肺がんにかかるリスクは上がると言われていますので、近くにタバコを吸う人がいる方、家族がタバコを吸っているという方も注意しましょう。

このような方は、定期的に肺がんの検診を受けることをおすすめします。最近では早期発見も可能になりつつあります。初期段階から治療を行えば、治療にかかる費用も抑えることができ、抗がん剤治療で回復を目指すことも可能になります。

肺がん予防に野菜や果物が効果的という説もありますが、正確なデータは出ていません。アジアからのデータも少なく、国内で行われた実験においても喫煙と野菜、果物の摂取による肺がんへの影響の関連性は見られませんでした。野菜や果物をよく食べる人は非喫煙者である確率が高いため、このような説が流れたようです。

タバコを吸っていても野菜や果物を多く食べているから大丈夫、ということはありませんが、身体の健康を維持するためには野菜や果物は効果的だと言えますので、あまり野菜や果物を摂取していないという方は意識してみるのもいいかもしれません。肺がん予防を目的とするなら、まずは禁煙を心がけることから始めましょう。[5]

リスクの少ない肺がん治療とは

副作用が非常に少なく、体への負担がほとんどないがん治療として最近注目されているのが、「遺伝子治療」です。遺伝子治療は、抗がん剤治療のようなつらい副作用がなく、抗がん剤が効かないケースにも対応。直接的にがん細胞自身、がん幹細胞自身を細胞死させるがんの根本治療です。

肺がんの遺伝子治療について

肺がんは、「ROS1融合遺伝子」「ALK融合遺伝子」「EGFR遺伝子変異」といった遺伝子変異がスイッチとなり、がん細胞が増殖することが分かってきています。この3種がすべての肺がんで見られるわけではありませんが、ほとんどの癌でこの内のどれかの遺伝子が発見できます。(他のがんも同じく、そのがん特有の遺伝子変異が見られています。)

手術できない場合や再発した非小細胞肺がんで用いられる分子標的薬はこれらを標的にしたもので、ROS1融合遺伝子がある場合は、ROS1チロシンキナーゼ阻害の効果を持ったクリゾチニブを経口投与します。ALK融合遺伝子があればアレクチニブやクリゾチニブ、EGFR遺伝子変異があればゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブといった薬があります。[3]

遺伝子治療では、分子標的薬同様患者一人ひとりが「どの遺伝子変異なのか」を診断し、それぞれの遺伝子変異を中心とした根本的な治療を受けられるため、効果的と言われているようです。

遺伝子治療も分子標的薬と同じようにすべての患者に効果があるわけではありませんが、標準治療と併用することで、進行が緩やかになったり、QOL向上が期待できるようになります。

遺伝子治療に関する詳細はこちらで解説しています>>

初期段階での症状の特徴

咳をする男性

肺がんは、それほど特徴のある初期症状が現れる病気ではありません。

咳や痰といった、風邪に似た症状が出ることがあり、風邪のように安静にしておけば治ると思って放置してしまいがち。以下のような症状が出たら、「もしかして…?」と疑ってみてもよいかもしれません。

  • 1か月以上も咳が続いている
  • 痰の量が増えた
  • 息切れするほど咳がひどい
  • 胸の痛みを感じる
  • 食事が飲み込みにくい
  • 疲労感が強い
  • 食欲がない・体重が減った

肺がんの中には進行しやすいタイプがあるので、気になる症状があればぜひ医師の診察を受けてみてください。

肺がんの進行速度とステージ分類

肺に発生するがんのうち、15%ほどが小細胞がんという進行も悪性度も高い種類に分類されます。この小細胞がんは細胞分裂の速度が速く、転移や進行が通常の非小細胞がんよりもはるかに速いスピードで広がってしまいます。

以下に非小細胞がんと小細胞がんのステージⅠ、ステージⅡの分類法についてまとめました。一般的な肺がん(非小細胞がん)では、原発巣の大きさとリンパ節転移、遠隔転移の有無などを総合的に見てステージの分類を行います。

【原発腫瘍の大きさによる分類】

ステージⅠ(T1)…原発腫瘍が直径3センチ以下または、肺組織内にとどまっている

ステージⅡ(T2)発腫瘍が直径3センチ以上または、肺組織から気管支に浸潤している

【リンパ節転移による分類】

ステージ0(N0)リンパ節への転移がない

ステージⅠ(N1)原発巣と同じ側の肺門、リンパ節にとどまっている

ステージⅡ(N2)原発巣と同じ側の縦隔リンパ節に転移している

【小細胞がんの場合の進行度】

小細胞がんは、上記の分類だけではなく限局型が進展型によっても分類されます。

限局型…片側の肺とその近くのリンパ節にとどまっている状態で悪性胸水および心嚢水がみられないもの

進展型…肺の外側にがんが広がったり、遠隔転移が見られる状態

限局型小細胞肺がんの臨床病期Ⅰ期は、手術が可能なケースとできないケースとに別れ、Ⅰ期以外は基本的に手術を行いません。また手術が可能であっても薬物療法は併せて行われます[4]。

肺がんのステージⅠ・Ⅱでの治療後の生存率

ステージⅠとステージⅡの手術後5年生存率を調べてみました。

ステージⅠ…手術後の5年生存率は70~80%

ステージⅡ…手術後の5年生存率は50~60%

参考:[1]一般社団法人日本呼吸器学会:小細胞がんの化学療法[pdf]

参考:[2]株式会社ファイザー:非小細胞肺がん

参考:[3]国立がん研究センターがん情報サービス:肺がん

参考:[4]特定非営利活動法人日本肺癌学会:限局型小細胞肺癌(LD-SCLC)

参考:[4]国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ:野菜・果物摂取量と肺がんとの関連について

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