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【特集】副作用のない最新のがん治療・遺伝子治療とは

遺伝子治療

重粒子線治療や免疫療法など、癌の先進医療と呼ばれる新しい治療法が確立されてきていますが、その中で最も新しく、治療効果が高いことで注目を集めているのが遺伝子治療です。

癌は遺伝子の異常によっておこる病気ということは知られていますが、遺伝子を利用して癌細胞を抑制する遺伝子治療は、アメリカやカナダなどで研究が進められ、日本においては最近になって普及し始めたばかりです。

このページの目次(題名をクリックすると、このページの中を移動できます)

遺伝子治療とは
まったく新しいアプローチで癌細胞を消滅に導き、患者の体への負担も少ないと注目の遺伝子治療について、分かりやすく簡単に解説しています。
遺伝子治療の優位性
免疫療法など他の癌治療に比べて、遺伝子療法が優れている点を説明しています。特に初期の癌の治療に最適と言われる理由もまとめています。
遺伝子治療の流れ
実際にクリニックで行われる遺伝子治療について説明しています。どんな検査を行うのか、その目的と方法や内容、診療の進め方などを簡単にまとめました。
癌の遺伝子治療が受けられるクリニック
遺伝子治療が受けられるクリニックは、まだあまり多くありません。ここでは、東京で癌の遺伝子治療を行っている代表的なクリニック3院をご紹介しています。

遺伝子治療とは―副作用がなく癌を確実に減らすことができる治療法―

遺伝子治療は、これまでの癌治療とは全く違うアプローチ法で癌を攻撃します。

私たちの体を作っている細胞は、ストレスや紫外線、有害物質などからダメージを受けて、日々傷ついています。

健康な人であれば、細胞が多少のダメージを受けても、遺伝子が指令を出して修復したり、傷ついた細胞そのものに自死(アポトーシスと呼びます)を促して、新しい細胞へ作り変えながら体を保つことができるわけです。

しかし、遺伝子が傷ついてしまって細胞の修復やアポトーシスが行なわれなくなってしまった場合、壊れた異常細胞がそのまま分裂したり増殖したりして、がん細胞となってしまいます。

遺伝子治療は、この傷ついた遺伝子を修復することで異常な細胞にアポトーシスを促し、癌を消してしまおう、という治療法なのです。

遺伝子治療の優位性

2種の遺伝子の修復によって癌が消せる新たな療法

細胞の分裂や増殖を司っている遺伝子には2つの種類があります。細胞を増殖させるアクセル役の「がん原遺伝子」と、細胞の増殖を抑えたり、傷ついた細胞を修復するブレーキ役の「がん抑制遺伝子」です。

この2つのバランスが維持されていれば、体のシステムは正常に働き、新陳代謝を行うことができます。しかし、どちらかの遺伝子が傷ついてバランスが崩れると、癌細胞が不死の状態になり、加えて無限に増殖します。

そこでこの傷ついた遺伝子を修復し、バランスを正常な状態に回復させることで、癌細胞の増殖を止めるのが「遺伝子治療」と呼ばれるものです。

遺伝子治療は、抗がん剤治療など、他の一般的な治療法のように、癌細胞を見つけ出して攻撃したり取り除いたりする必要はありません。なぜなら、傷ついた遺伝子を正常に修復さえすれば、アポトーシスを促し、癌細胞は自然に消えてくれるからです。[注1]

そのため、従来の治療法では脱毛、吐き気、骨髄抑制などの重い副作用があるのがデメリットでしたが、これと比べると遺伝子治療の場合は、大きな副作用は少なく、体への負担は小さいと言われています。

もっとも、最近の研究では"神経の脱髄、肝障害などが報告されている"ということで、全く副作用がないというわけではありません。[注2]

末期癌など他の治療法が難しい患者にも適用できることから注目されていて、例えば抗がん剤治療と併用することで治療効果を高める方法も可能です。副作用が少ないため、多くの場合が入院する必要もなく、例えば仕事復帰をしながら治療を受けられます。

目に見えない初期の癌もいち早く発見し治療が可能

以上のように、遺伝子治療はがん原遺伝子やがん抑制遺伝子にアプローチする治療法ですから、癌のステージ、種類、転移か原発かに関わらず、ほとんどの癌患者に適用できるのが最大のメリットです。

なかでも遺伝子治療が特に優れているのは、まだ腫瘍になっていない小さな癌細胞や、微細な癌細胞からの再発の可能性、マイクロ転移など、癌になりそうな兆候を見つけて治療できることです。

ですから、家族や親戚に癌患者が多い、いわゆる"がん家系"の方や、従来の治療に適さないごく初期の癌が見つかり、主治医から「腫瘍がもう少し大きくなるまで手術は待ちましょう」などと言われている患者さんにも適用でき、重症化する前に手を打つことができます。

ごく初期の段階の遺伝子治療は次の手順で行われます。

まず血液検査によって遺伝子診断を行い、異常な遺伝子があるかどうかを判定します。見つかった場合は、画像診断などで腫瘍ができていないかを調べます。仮に腫瘍が確認されなくとも、癌が発生していると想定して、正常な遺伝子に修復するワクチンを投与します。

そして異常な遺伝子にアポトーシスを促し、消滅させるのです。このようにして、目に見えない癌さえも攻撃することが可能なのです。

遺伝子診断によって抗がん剤治療の効果を高めることも

先に少し述べたように、遺伝子治療は従来からある抗がん剤治療と併用できます。またそれに加えて、事前に遺伝子診断をすることによって、どの抗がん剤が合うのかを把握した上で治療も可能になるメリットがあります。

そうすることで無駄な、効かない治療をするリスクを減らし、投与する量も副作用も少なく治療することができるのです。これは一般的に「コンパニオン診断」と呼ばれています。

抗がん剤には様々な種類がありますが、遺伝子診断が最も有用なのは、とりわけ「分子標的薬」といった抗がん剤を使用する時です。

分子標的薬とは、体内にある特定の分子を狙い撃ちする薬剤です。つまり、癌に直接働きかけ、集中的に攻撃できる抗がん剤を指します。

分子標的薬として有名なものに「イレッサ」があります。イレッサは一定の癌患者に対して非常によく効くことが臨床研究で分かっていましたが、まれに重篤な副作用を引き起こすこともあり、1次治療からこれを使うことは今まで避けられていました。

ところが、最近の研究でEGFR遺伝子変異を起こしている患者に対して効果があることが判明したため、遺伝子診断でこの変異が見つかれば最初からイレッサを投与することが選べるようになったのです。[注3]

また遺伝子診断によってイレッサの適性があるかどうかを判断することで、重篤な副作用を起こすリスクを減らすことにつながります。このように従来の治療法と併用することで治療の効果を高められるのも、遺伝子治療や遺伝子診断の利点なのです。

将来の癌リスクも遺伝子診断で分かる

遺伝子診断によって、従来の治療の効果をあげるだけではなく、癌になる前の段階で、将来の癌リスクを知れます。

現代では、癌の兆候が見られる遺伝子を含む箇所を、癌が発症する前に予め外科的に手術することも可能です。

最近では、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんがこの手術を受けて話題になりました。

彼女は、遺伝子診断で「BRCA1」遺伝子に特殊な変異が見つかり、将来的に乳がんになる確率が87%、卵巣がんの確率は50%以上あることを知らされました。

実際、ジョリーさんの母親は50代の時に乳がんで亡くなっており、祖母は40代の時に卵巣がんで亡くなっているとのことで、いわゆる癌家系であることも分かっていました。

そこでジョリーさんは、癌の兆候が見られる遺伝子を含む部分を取り除くことを決意し、両乳房と卵巣、卵管を摘出する外科手術に踏み切り、無事成功しました。

遺伝子診断の精度がさらに高まりつつある現代においては、このような予防手術の件数も今後伸びていく可能性があります。日本でも本人が希望すればいくつかの病院での手術が可能です。

遺伝子治療は難治性がんにも有効

難治性がんとは、従来の外科手術や抗がん剤治療、または放射線による治療が困難であると診断された癌のことです。

治療が困難である理由としては、全身への転移や薬剤耐性があげられています。しかし、そのようなケースにも遺伝子治療が役に立ちます。

遺伝子治療ならば遺伝子に直に働きかけるため、全身に転移している場合にも異常な遺伝子のみに直接作用させることができ、また薬剤耐性などの影響を受けないゆえに難治性がんにも効果を表すのです。

遺伝子治療が難治性がんに有効であることを示す例としてCAR-T(カーティ)治療があります。CAR-T治療とは、患者から採取した免疫細胞に遺伝子改変を加え、再び患者の体内に戻して癌細胞への攻撃を促す治療法です。CAR-Tはキメラ抗原受容体T細胞の略で、T細胞は免疫細胞の一種です。

ペンシルベニア大学調査チームによると、難治性の小児白血病患者を対象にCAR-T治療を行った結果、30人中27人の癌が消滅(完全寛解)したといいます。実に90%もの患者の白血病細胞が消えたのです。[注4]

その驚くべき結果に、癌治療の最先端の研究結果を発表する場である米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、CAR-T治療のセッションに2,000人以上の人々が詰めかけることとなりました。

費用面が高額なことや効果の持続性への疑問など、いろいろと課題は残っていますが、白血病のみならずリンパ腫など血液の病気全般に対して効果がある可能性が高いとして、今後ますます注目を集めそうです。

遺伝子を修復することで癌が消える

細胞の分裂や増殖をコントロールしている遺伝子は、2種類あると言われています。細胞をドンドン増やすアクセル役の「がん原遺伝子」と、細胞の増殖を抑えるブレーキ役の「がん抑制遺伝子」です。

この二つのバランスが保たれていれば、正常なシステムで新陳代謝を行うことができます。

しかし、どちらかの遺伝子が傷ついてバランスが崩れると、癌細胞が増殖します。傷ついた遺伝子を修復しバランスを整えることで、癌細胞の暴走を止めるのが遺伝子治療です。

遺伝子治療は、他の治療法のように、癌細胞を見つけ出して攻撃したり取り除いたりする必要はありません。遺伝子を正常に修復しさえすれば、アポトーシスを促し、癌細胞は自然に消えてくれるからです。

目に見えない初期の癌も発見して治療できる

遺伝子治療のもうひとつの特徴として挙げられるのは、まだ腫瘍になっていない小さな癌細胞や、癌になりそうな兆候を見つけて治療できること。

家族に癌患者が多い、いわゆる“がん家系”の方や、ごく初期の癌が見つかり主治医から「腫瘍がもう少し大きくなるまで手術は待ちましょう」などと言われている患者さんに最適な治療法です。

血液検査によって遺伝子診断を行い、異常な遺伝子が見つかった場合は、画像診断などで腫瘍が確認されなくとも癌が発生していると想定して、正常な遺伝子に修復するワクチンを投与します。

目に見えない癌さえも、これで攻撃できます。

遺伝子診断で抗がん剤治療の効果をあげる

抗がん剤治療を行う場合でも、遺伝子診断によって、合う薬がわかったうえで抗がん剤を行うことで、投与する量も副作用も少なく治療できます。

抗がん剤には様々な種類がありますが、遺伝子診断が威力を発揮するのは、特に「分子標的薬」という抗がん剤を使用する時です。

分子標的薬とは、体内にある特定の分子を狙い撃ちする薬剤です。つまり、癌を集中的に攻撃できる抗がん剤を指します。

分子標的薬として有名なものに「イレッサ」があります。イレッサは、まれに重篤な副作用を引き起こすことでも知られており、それを回避する方法として遺伝子診断を行うことが推奨されています。

遺伝子診断によって、イレッサの適性があるかどうかを判断し、重篤な副作用を起こすリスクを減らすことにつながります。

また、遺伝子診断によって、抗がん剤治療の効果をあげるだけではなく、癌になる前の段階で、将来の癌リスクを知ることができます。

現代では、癌の兆候が見られる遺伝子を含む部分を、予防のため外科的に手術することも可能になっています。

遺伝子治療は難治性がんにも有効

難治性がんとは、外科手術や抗がん剤治療、または放射線で治療が困難であると診断された癌のことです。

その治療が困難である理由として、全身への転移や薬剤耐性があげられます。そこで、遺伝子治療が役に立ちます。

遺伝子治療ならば遺伝子に直接作用するため、薬剤耐性などの影響を受けず、難治性がんにも効果を表すのです。

遺伝子治療が難治性がんに有効であることを示す例としてCAR-T(カーティ)治療があります。CAR-T治療とは、患者の免疫細胞を抽出して遺伝子改変を行い、再び患者の体内に戻す治療法です。

「血液の癌」と呼ばれる難治性の白血病患者を対象に、CAR-T治療を行った結果、30人中27人の癌が消滅(完全寛解)しました。

その驚くべき結果に、癌治療の最先端の研究結果を発表する場である米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、CAR-T治療のセッションに2,000人以上の人々が詰めかけることとなりました。

遺伝子治療は適応範囲が広い最先端治療

一般的な癌の治療は、癌の種類や進行具合によって対応できる範囲に違いがあるのが現実です。

  • 外科手術
  • 抗がん剤
  • 放射線

を癌の三大標準治療と呼び、初期の癌であれば該当箇所を切除して経過を観察することもあります。

しかし、一般的には、切除後に抗がん剤や放射線治療を併用し、目に見えない転移部位などを想定して治療にあたる場合が多いです。

外科手術、抗がん剤治療、放射線治療は、身体に少なからず負担をかけ、場合によっては重い副作用に苦しむことにもなり得ます。

しかし、遺伝子治療なら、癌になる前の段階や初期の癌、または進行中の癌や末期がんに対しても効果が望めます。

さらに、遺伝子治療は治療適応範囲が広く、外科手術、抗がん剤治療、放射線治療との相乗効果も期待できます。

また、遺伝子治療は、再発予防の観点からも、一般的な癌の治療を終えて経過を観察している状況においても効果的です。

癌は再発しやすい病気なので、遺伝子治療によって再発予防に取り組むことが重要です。

癌の遺伝子療法のメリット・デメリット

最新の癌治療法である遺伝子治療のメリットとデメリットをまとめてみました。

遺伝子治療のメリット

癌治療における遺伝子治療には様々なメリットがあり、いずれも従来の癌治療にはない革新的なものです。その内容について詳しく見てみましょう。

メリット1.副作用がほとんどない

遺伝子治療のイメージ

遺伝子治療では、癌細胞の増殖を抑制する遺伝子を患者の体や特定の臓器へと注入するだけで治療が終わります。

注入は点滴や注射でできるので、従来の癌治療のように強い薬物を使ったり、放射線を浴びたり体にメスを入れて癌細胞を切除したりする必要がありません。

体に傷も残りませんし、治療後に体力が回復するまで時間がかかるといったこともなく、体にかかる負担が非常に小さいのです。

負担の少なさから、副作用もほとんどないとされています。

癌の遺伝子治療技術が本格的に確立されれば、手術に耐えられるだけの体力がない小さな子どもや回復力が落ちている高齢者、俳優や女優などの体に傷跡を残したくない需要を持っている人たち、大会前に体力とパフォーマンスを落としたくないスポーツ選手など、より多くの人々に対して癌の治療ができるようになるでしょう。

メリット2.癌細胞に耐性がつかない

癌の治療をする上で大きな問題となっているのが、強い薬剤や治療法を使ってもいずれは癌細胞が慣れ、薬や治療が効かなくなってしまうという「耐性」です。

癌細胞が耐性を得てしまうメカニズムについては、2017年に発表された東京医科歯科大学大学院の共同研究によって、世界で初めて明らかにされていますが、耐性がつかない薬剤の開発にはまだ先の話。実用化の目処は立っていません。

しかし、遺伝子治療ではあくまで遺伝子が本来持っている機能を修復し、細胞本来の機能を使って癌細胞を減らしていくため、癌細胞に耐性がつきません。

つまり、耐性を得た癌細胞を叩くため、いたちごっこのように新しい薬を開発したり、治療法を強くしていったりする必要がないということです。

参考: 『がんが生体内で治療抵抗製を獲得するメカニズムを解明』国立研究開発法人日本医療研究開発機構

メリット3.初期の癌から進行した重度の癌まで対応できる

遺伝子治療では、悪性腫瘍になるまで育っていない小さな腫瘍を持っている人や癌家系の人など、従来の診療方針では癌治療を受けられない人でも治療を受けられます。

それだけでなく、重度に進行した癌への対応も期待できるのです。遺伝子治療は全身の細胞を正常化させるため、小さな癌から重度の癌まで対応できるとされています。

とくに注目されているのが、転移のしやすさから治療が非常に難しい血液癌や骨髄癌への対処です。

アメリカの厚生労働省であるFDAにおいて、2017年の8月30日に世界で初めて遺伝子治療薬が正式な薬として認可されたことを考えても、遺伝子治療は決してまがい物の治療法とはいえないレベルにあることがわかります。

参考: 『商品名KYMRIAH:tisagenlecleucelの認可について』FDA

メリット4.従来の癌治療と合わせて利用できる

遺伝子治療は、あくまでも細胞が元々持っている癌細胞の抑制機能を修復するという方法です。薬や放射能等で体にダメージを与えるものではないので、従来の癌治療と組み合わせて利用することもできます。

むしろ、遺伝子治療と従来の治療法の合わせ技は、相乗効果を生むとして国内でも注目されている治療法のひとつです。

癌の遺伝子治療の臨床試験数がまだ少ない日本では、遺伝子検査によって問題のある遺伝子を突き止め、適切な治療を選ぶ「プレシジョン・メディシン(高精度医療)」が、国立がん研究センターや京大医学部付属病院などのさまざまな研究機関で研究されています。

参考: 『TOP-GEARプロフェクトの開始』国立がん研究センター
『OncoPrime』京都大学医学部附属病院

メリット5.遺伝子療法の有効性が確認されつつある

遺伝子治療は、国内では臨床研究の数も少なくまだ立場の不安定な治療法ですが、世界で初めて遺伝子治療の臨床研究をはじめたアメリカでは数多くの研究が行われています。

アメリカの臨床試験についてまとめているClinical trials.govで癌の遺伝子治療に関する臨床試験を調べてみると、なんと250件以上の試験がヒット。

こうした臨床研究の積み重ねによって、実際にFDAで認可される癌の遺伝子治療薬も生まれています。今後研究がさらに進んでいけば、遺伝子治療の有効性がよりはっきりとわかってくるでしょう。

参考: 『Clinical trials.gov』アメリカ国立医学図書館

遺伝子治療のデメリット

癌治療における遺伝子治療のデメリットは主にその高額な治療費にあります。その実状や、金額的問題以外のデメリットについても詳しくみてみましょう。

デメリット1.健康保険が適用できず高額

遺伝子を操作するという特性上、遺伝子検査はともかく遺伝子治療に関して日本はかなり慎重です。クリニックで利用できる癌の遺伝子治療については、どの治療方法も健康保険を適用することができません。

通常なら1割から3割負担で済むところを、10割自己負担で治療を受けなければならないので、どうしてもその他の治療方法に比べると費用負担が大きいのです。

自由診療では治療費を医師が自由に決められるので、相場という考えもありません。一回の治療につき100万円から数百万円近い治療を自己負担で受けるのは、誰にでもできることではないでしょう。

保険適用の治療法であれば、医療費が高くなりすぎた場合に「高額療養費制度」を利用して自己負担額を抑えることも可能ですが、自由診療となる遺伝子治療では高額療養費制度も利用できません。

ただし、支払った医療費は医療費控除に使えるので、年度末の確定申告に備えて領収書を取っておきましょう。

ここで誤解していただきたくないのは、癌の遺伝子治療が高額であるのは、医師や病院があくどく儲けようとしているからではないということです。

遺伝子治療に限らず、新しい治療方法が開発された場合、本当に効果があるのかを検証しなければなりません。

そのクリニックで治療法として導入するまでにかかる費用が莫大なので、どうしても治療1回あたりの金額が高くなってしまうのです。

将来的に癌の遺伝子治療が厚生労働省に認可され、保険適用の治療法になれば徐々に治療費も下がっていきますが、安価で遺伝子治療を受けられるようになるまでにはしばらく時間がかかります。

癌の治療法を安価で提供するためには、莫大な時間と費用をかけて治療法の研究と検証を行わなければなりません。

しかし、コストをかけて研究開発を行えば行うほど、安価に治療法を提供することができなくなってしまうというジレンマは、医療の世界ではよくある話なのです。

なお、中には効果や知識のない怪しげな治療法を、効果があると称して行っている悪徳クリニックも存在します。

癌になり、気が参っている人達の心のスキマに付け込む相手がいることを心に留め、クリニック選びは慎重に行う必要があるのです。

デメリット2.治療を受けられるクリニックが少ない

日本国内で癌の遺伝子治療を受けようと思っても、限られたごく一部のクリニックでしか遺伝子治療は受けられません。

癌の遺伝子治療は厚生労働省から正式に認可されているわけではなく、臨床研究にも莫大な費用がかかることから、治療法として取り入れられるクリニックが少ないことがその理由です。

デメリット3.治療を受けた人全員が効果を実感するわけではない

遺伝子治療は、癌細胞の耐性を考える必要もなく、注射や点滴だけで治療を始められる非常に価値のある治療方法です。

しかし、遺伝子に関する研究は完全に解明されているわけではなく、まだまだ人間の体や病気には未知の領域が残っています。

臨床研究のレベルでは、同じように遺伝子治療をしても、ある人には寛解と呼べるほどの劇的な効果が出る一方、ある人にはまったく効果が出ないといった結果のバラつきがあるのです。

どうして効果がある人とない人がいるのかが解明されない限り、遺伝子治療は効果があるかどうかを高いお金を払って確かめるある種のギャンブルになってしまいます。

より確実な癌の治療方法を探し求めている人にとってはもどかしい話ですが、研究というものは短期間では進みません。今後、より確実性や効果の高い遺伝子治療が出るまで待たなければならないのです。

遺伝子治療の流れ

1 カウンセリング

2 遺伝子診断

まずは、血液採取だけで行えるスクリーニング検査でがんの有無を判断
127項目に渡るがん抑制遺伝子のうち、

  • 18項目のがん抑制遺伝子がメチル化していないどうか(メチル化→がん抑制遺伝子が機能しなくなる)
  • フリーDNAの濃度(がん細胞等によって壊された遺伝子の血液中濃度)
  • フリーDNAの塩基対の長さ

以上の3項目を測定することにより、がんの有無がわかる

3 遺伝子診断(127項目フルの診断)

  • 127項目のがん抑制遺伝子がメチル化していないかどうか、過剰に発現していないかどうか、変異していないかどうか
  • フリーDNAの濃度
  • フリーDNAの塩基対の長さ

以上の項目を測定することにより、がんの活動性・がんの部位(予測)・そのがんに適当な分子標的薬・抗がん剤に対する感受性をはかることができる。

4 診断の結果に基づいて、治療計画をたてる

診断結果に基づいて、どのような治療を行うかを決定。かつ、がん細胞を細胞死させるために適切なワクチンを選定する

5 がん細胞そのもの、がん幹細胞を細胞死に導く根本治療のスタート

がん抑制遺伝子に異常→がんを抑制できなくなる→正常な遺伝子を入れる という方法 (点滴治療1回90分程度、6セット1クール)

遺伝子治療が受けられるクリニック

癌の遺伝子治療が受けられるクリニックは、東京でもまだ数が限られています。ここでは従来の治療法に加えて遺伝子治療を取り入れているクリニックをご紹介しています。

UDXヒラハタクリニック

UDXヒラハタクリニックの公式ホームページ画像
画像引用元/UDXヒラハタクリニック(https://www.udx-hc.com)

5ミリ以下の癌も発見して治療できる!
日本で唯一遺伝子診断からワクチン生成まで一貫対応できるクリニック

クリニック内にクリーンルームを持ち、遺伝子診断もワクチンの作成も院内で行っている、日本で唯一のクリニック。同時に120個の遺伝子を検査できる研究所があるので、あらゆる癌をごく初期に発見し、治療することが可能です。

【所在地】東京都千代田区九段南3-2-12 エルミタージュタワー

 

ナガヤメディカルクリニック

ナガヤメディカルクリニックの公式ホームページ画像
画像引用元/ナガヤメディカルクリニック(http://nagayamedical.com)

がんの予防と早期発見を重視し
国内では未承認の薬剤も活用するクリニック

東京・中野にある内科や外科、小児科の総合クリニック。癌の遺伝子治療にも取り組み、CanTectやマイクロアレイという癌の遺伝子検査で遺伝子の異常を特定し、ワクチン治療を行います。

【所在地】東京都中野区本町3-29-10 ヴェルティ中野 2F

 

さくらクリニック

さくらクリニックの公式ホームページ画像
画像引用元/さくらクリニック(http://www.sakura-clinic.org)

アメリカで開発された治療タンパクを採用し
遺伝子治療と幹細胞療法を併用するクリニック

東京・渋谷にある癌治療の専門クリニック。アメリカで開発された治療タンパクを使った遺伝子治療と幹細胞療法を採用。併設した細胞培養施設(CPC)で、厳格な管理のもと培養をしています。

【所在地】東京都渋谷区渋谷1-16-9 渋谷KIビル3F

 

より詳しい基礎知識をお求めの方へ

がんの遺伝療法に関して、もっと詳しい情報をお求めの方は、以下のページをご覧ください

免疫療法との違い

副作用の少ない治療法と言われ、ワクチンを点滴する治療であるという共通点もあるので、一見混同しがちな二つの治療法。

しかし、遺伝子治療と免疫療法は、全く異なった仕組みで癌細胞へアプローチを行います。両者の違いを分かりやすく解説し、遺伝子治療のメリットを紹介します。

治療の流れと方法

遺伝子治療の検査や治療は、体への負担もなく行えます。

どのような方法で行われるのか、カウンセリングや検査の内容、治療を受ける際の注意点など、「UDXヒラハタクリニック」で行われている遺伝子治療を例に、具体的な内容を解説していきます。

遺伝子治療の症例

遺伝子治療がどのような成果を上げているのか、実際の症例を見ながら検証していきます。また遺伝子治療の歴史をはじめ、国内外の最新研究内容のほか、治療を受けた患者さんの声や体験談も紹介します。

予防としての遺伝子治療

つまり、すでにある腫瘍を抑制するだけでなく、まだ発生していない癌への予防効果もあるのです。腫瘍が遺伝子治療による癌の予防法について、その仕組みや効果を解説します。

[注1]国立がん研究センター がん情報サービス:細胞ががん化する仕組み

[注2]医とゲノムより:遺伝子治療の現状と将来[pdf]

[注3]愛知県臨床検査技師会より:分子標的薬と臨床検査[pdf]

[注4]日本経済新聞:難治白血病から9割生還 がん治療・解体新書 第2部(1)

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